講師のつぶやき 第105回 『新しいことを学習する時のコツ』山内裕昌
◇爽やかな風が吹き抜ける季節となりました。新年度の慌ただしさが一段落し、学校の生活リズムにも慣れてきた頃ではないでしょうか。しかし、学習面においてはこの「慣れ」こそが最大の要注意ポイントです。
◇6月に入ると、どの教科も「導入」から「応用」へと一気にアクセルが踏まれます。内容が急に難しくなり、スピードも上がります。ここで立ち止まらないために、今月はこれから出会う膨大な知識を確実に自分のものにするための『学習のコツ』を3つのステップで伝授します。
ステップ1:まずは「地図」を手に入れる(予習の極意)
◇新しいことを学ぶとき、一番効率が悪いのは「何も知らない状態で授業に臨むこと」です。授業の前に、教科書やテキストの該当ページを「ザッと」で構わないので眺めてみてください。これから何を学ぶのか、どんな図が載っているのかを5分確認するだけで十分です。
◇これは、知らない土地を歩く前に地図を広げる作業と同じです。「今日はここをゴールにするんだな」という全体像が見えているだけで、脳の吸収率は劇的に上がります。完璧に理解する必要はありません。「なんとなく難しそうだな」という予感を持つだけでも、授業中のアンテナの感度は見違えるほど鋭くなります。
ステップ2:常に「ポイント」を探す(授業中の意識)
◇いざ学習が始まったら、ただ板書を写すだけの「コピー機」になってはいけません。問題を解きながら、常に自分にこう問いかけてみてください。
・「この問題を解くためのポイント(鍵)は何か?」
・「間違いやすい落とし穴(気をつけるべき点)はどこにあるか?」
◇「なぜこの公式を使うのか?」、「なぜここで符号が変わるのか?」という「なぜ」を意識することで、知識はただの暗記から「使える道具」へと進化します。ポイントが見つかったら、ノートの端に自分なりの言葉でメモを残しておく。その一手間が、テスト前の自分を救う最大の手がかりになります。
ステップ3:「翻訳」と「仕分け」で締める(学習後の振り返り)
◇学習が終わった直後の5分間が、最も実力の差がつく時間です。その日学んだことを、以下の3つの視点で整理してみましょう。
1. 自分の言葉で表現する:結局、今日習ったことは一言で言うと何だったか? 友達に教えるつもりで、
頭の中で「翻訳」してみてください。
2.「なぜ難しいか」を分析する:苦戦しているなら、その原因を特定しましょう。前段階の知識不足
か、手順の複雑さか。解消法を考えつつ、要点をギュッと凝縮してまとめてみてください。実は「大
事なのはここだけだったのか」と、意外なほどシンプルに見えてくることがよくあります。
3.「理解」と「暗記」の仕分け:理屈を納得すべき事柄と、理屈抜きで覚えるべき事柄をはっきり分
けます。
◇全部丸暗記しようとするから、脳がパンクするのです。「ここは理解、ここは暗記」と仕分けるだけで、勉強の負担は驚くほど軽くなります。仕分けができない子は先生にやってもらいましょう。
◇新しいことを学ぶのは、本来とてもワクワクする挑戦です。6月から本格化する難しい単元を、「敵」ではなく「自分の武器」に変えていきましょう。今月伝えた3つのステップを、まずは今日の授業、明日の宿題から一つだけでも試してみてください。数ヶ月後、君たちのノートと実力は見違えるほど変わっているはずです。





